齊藤です。
「Aurora」の制作工程の紹介です。
作品のモデルは後藤家に古くからある彫刻です。
先代や先々代の彫った物や作者不明の彫刻が多くございます。
ビーズの下は木を彫刻した物で出来ています。
実際に撮った写真を設計図にして制作します。
モチーフのシルエットを切りぬいた板を何層も重ねて立体的に近づけてから彫刻します。
これは寄木造りといって、仏像彫刻に使われる伝統技法です。
画像は東大寺の仁王像で、まさに鎌倉彫の根源である運慶、快慶ら慶派による作品です。
よく見ると木と木の合わせ目があると思います。
寄木造りは資源の節約、構造の強化、作業効率の向上などを目的に平安後期に生まれました。
仏教が急速に広まった鎌倉時代には仏師集団の慶派より発展され、このような大作の作成をも可能にしました。
僕はこれに習い、行程と技術と時間を(無駄にw)使って今回の小品を作っています。
ビーズを貼ると本来の形に見えるようにビーズの厚みを考慮しながら削っていきます。
積層と彫刻の工程を踏んで更新した形に無穴のビーズを貼ります。
半透明のガラスビーズを何色か選択して混ぜたものを使用しています。
これを僕は勝手にオーロラビーズと命名しました。
この作品は日本人の持つ細やかで伝統的な技法からアートに推移した表現です。
手ブレを起こした様に輪郭がボケている抽象的な姿は古い物を大事にして変化してきている今現在の時代や社会の姿です。
僕はこの様なことを考えながら素材に向かい制作しています。
会場には他にも多数作品がございます。
齊藤は7月3,4,5日に在廊です。お待ちしております。